1. はじめに目まぐるしく変化する現代ビジネスの世界で、持続的な成長を追い求めるなら、精緻な事業計画とリアルタイムな予実管理はもはや選択肢ではなく、必須条件です。特に、月額課金モデルの最前線を走る「ハードウェアサブスクリプション(以下、ハードウェアサブスク)」においては、単なるモノ売りから脱却し、顧客との強固な信頼関係を築き、安定した継続収益を確保することが成功の絶対条件となります。本記事では、ハードウェアサブスク(社数)という革新的なビジネスモデルを、その定義から紐解き、成長を牽引する特徴、具体的なKPI(重要業績評価指標)ツリー、またはその計算ロジックまで、徹底的に深掘りします。さらに、事業計画策定と予実管理を劇的に効率化する、Zaimo.aiの強力なExcelテンプレートもご紹介します。さあ、この一歩で、貴社のビジネスを次のステージへと飛躍させましょう。2. ハードウェアサブスク(社数)とは?「ハードウェアサブスク(社数)」とは、企業(BtoB)向けに、PC、タブレット、プリンター、IoTデバイスなどのハードウェア機器を月額または年額の定額料金で提供するビジネスモデルです。顧客は機器を買い取るのではなく、サービスとして利用するため、初期投資を抑えつつ、常に最新の機器を利用できるメリットがあります。ここがポイント!ハードウェアサブスクの仕組み・何を提供するの?ハードウェア機器: PC、タブレット、プリンター、IoTデバイスなど、企業活動に必須となる物理的な機器そのもの。保守・サポート: 機器の故障時の修理や、トラブル発生時の技術サポート。ソフトウェア: 機器の機能を最大限に引き出すためのOSや各種アプリケーション。クラウドサービス: データ保管、共同作業、遠隔管理などを可能にするインターネットベースのサービス。つまり、機械と、それを使うために必要なものを全部セットで提供します。・対象顧客は?主に企業(法人)をターゲットとしており、「BtoB(Business to Business)」モデルの典型例です。・料金体系は?機器の購入ではなく、月額または年額の定額料金を継続的に支払う形式です。これにより、初期投資を大幅に抑制できます。・利用者にとってのメリットは?初期投資の抑制: 高額な機器を一度に購入する必要がなく、資金繰りの負担を軽減します。常に最新機器の利用: 契約期間内のアップグレードや、新モデルへの交換により、常に最新の技術環境を維持できます。IT資産管理の効率化: 機器の調達、導入、設定、メンテナンス、廃棄までを一元的にサービス提供者が担うため、企業のIT部門の負担を軽減し、本来の業務に集中できます。・従来の購入モデルとの相違点は?購入モデル: 機器の所有権が企業に移転し、その後の保守・管理は企業側の責任となります。ハードウェアサブスク: 機器の所有権はサービス提供側に留まり、企業はサービスとして機器を「利用」します。これにより、企業は資産としての管理負荷から解放されます。・類似ビジネスモデルSaaSとの違いは?ハードウェアサブスクは、近年急速に普及したSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)と概念的に似ています。SaaSは、WordやExcelといったオフィスソフトや、顧客管理システム(CRM)などのソフトウェアを、インターネット経由で月額課金で利用するサービスです。企業はソフトウェアを自社にインストールする必要がなく、常に最新バージョンを利用でき、管理の手間も省けます。これに対し、ハードウェアサブスクはSaaSの利点を取り入れつつ、物理的な「モノ」の要素が加わる点で大きく異なります。SaaSが情報や機能を提供するのに対し、ハードウェアサブスクは「モノ」そのものと、それに付随する一連のサービスを提供します。この物理的な要素が、調達、在庫管理、物流、設置、修理、そして最終的な回収・廃棄といった、SaaSにはない複雑なオペレーションを伴います。そのため、サプライチェーンの構築や、物理的な資産管理のノウハウが、ハードウェアサブスクの成功には不可欠となります。比較項目ハードウェアサブスク(社数)SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)主な提供物物理的なハードウェア機器+関連サービス(保守、ソフト等)ソフトウェア機能そのもの提供形態機器の「利用権」を提供ソフトウェア機能の「利用権」を提供初期投資企業側の初期投資は抑制される(サービス提供側が負担)企業側の初期投資は不要管理対象物理的な機器の調達、在庫、物流、設置、保守、廃棄ソフトウェアの開発、運用、バージョンアップ収益構造継続的な月額/年額課金(機器の減価償却費含む)継続的な月額/年額課金(サービス利用料)代表例PCや複合機のレンタル・リース、IoTデバイスの利用サービスSalesforce, Microsoft 365, Zoom主な事業リスク機器の故障、陳腐化、在庫管理、物流コストサービス停止、セキュリティ、機能不足要するに、ハードウェアサブスクは、企業がビジネスインフラとしての機器を、初期費用を抑えつつ、常に最適な状態かつ包括的なサポートのもとで利用できる、「機器のサービス化」を実現するビジネスモデルです。提供側にとっては、長期的な顧客関係と安定した継続収益の確保に繋がる戦略的な選択肢となります。3. ハードウェアサブスク(社数)ビジネスの特徴ハードウェアサブスクのビジネスにおいて、単なる機器の提供を超えた、戦略的な視点が成功の鍵を握ります。ここでは、この革新的なモデルが秘める成長の潜在力を最大限に引き出すため、その独特な収益構造、特に重要な3つの特徴と、そして事業拡大の可能性(スケーラビリティ)について、深掘りして解説します。収益構造の特徴ハードウェアサブスクの収益構造は、従来の製品販売モデルとは一線を画します。・多様な収益源の構成ハードウェアサブスクリプションの収益は、単一の料金だけでなく、複数の要素で構成されています。サブスクリプション料金: これは中核となる収益源であり、月額または年額で継続的に発生します。機器の使用料だけでなく、保守サービス、ソフトウェアライセンス、クラウドサービスの利用料など、提供する全ての価値がこの料金に含まれます。初期セットアップ費用(もしあれば): 導入時の設定、設置、導入コンサルティングなどにかかる費用を初回のみ請求する場合があります。これは初期コストの一部をカバーする役割を持ちます。アップセル・クロスセルによる追加収益: 高機能モデルへの変更、追加機器の導入、プレミアムサポートへの移行、新たな関連サービスの契約など、既存顧客からのLTV(顧客生涯価値)を高める重要な収益源です。従量課金部分(オプション): 特定のサービス(例:印刷枚数、データ使用量)に対して、基本料金に加えて従量課金モデルを組み合わせることで、利用状況に応じた柔軟な収益化も可能です。・コスト構造ハードウェアサブスクリプションモデルにおけるコストは多岐にわたり、収益性を確保するためにはこれらのコストを正確に把握し、管理することが不可欠です。ハードウェア原価と減価償却費: 機器の調達にかかる費用は、従来の販売モデルのように一括で回収されるのではなく、契約期間を通じて減価償却費として計上されます。これは、機器が企業の資産として扱われ、その価値が耐用年数にわたって費用化されるためです。この会計処理により、短期的な会計上の利益が圧縮される一方で、長期的な安定した収益として認識されることになります。運用コスト: 機器のメンテナンス、修理、消耗品交換、物流、倉庫管理、そしてカスタマーサポートにかかる費用が継続的に発生します。マーケティング・営業費用: 新規顧客獲得のための広告宣伝費や営業人件費なども重要なコストです。・適切な価格設定の重要性これらの多様な収益源とコスト構造を踏まえた上で、サブスクリプション料金を戦略的に設定することが、このビジネスモデルの成功の鍵となります。価値ベースの価格設定: 単に原価を積み上げるだけでなく、顧客がサブスクリプションを通じて得る価値(例:初期投資の削減、常に最新の機器利用、メンテナンスの手間なし、データ活用による業務効率化など)を考慮し、その価値に見合った料金を設定することが重要です。市場競争力: 競合他社の提供するサービスや価格を分析し、自社の競争優位性を確保できる価格帯を見極める必要があります。価格が高すぎると顧客を獲得できず、低すぎると収益性が損なわれます。LTVとCACのバランス: 顧客生涯価値(LTV)が顧客獲得コスト(CAC: Customer Acquisition Cost)を上回るように、長期的な視点での収益性を考慮した価格設定が求められます。LTVを最大化するために、アップセル・クロスセルの戦略も価格設定に組み込むことが有効です。財務モデルの構築: 初期投資の回収期間、損益分岐点、将来のキャッシュフローを予測するための詳細な財務モデルを構築し、価格設定がビジネス全体の健全性に与える影響をシミュレーションすることが不可欠です。ハードウェアサブスクリプションは、顧客と提供者の双方にメリットをもたらす革新的なモデルですが、その収益構造は複雑です。綿密なコスト分析と戦略的な価格設定が、持続的な成長と収益性の確保には不可欠であると言えるでしょう。成長のカギとなる要素ハードウェアサブスクリプションモデルがビジネスとして成功し、持続的に成長していくためには、従来の販売モデルにはない独自の強みを最大限に活かすことが重要です。安定した継続収益(MRR)の確保このモデルの最大の利点の一つは、収益の予測可能性が格段に向上することにあります。・予測可能性の向上顧客が月額または年額で定額料金を継続的に支払うことで、MRR (Monthly Recurring Revenue)、つまり毎月安定した収益を確保できます。これにより、将来の売上を極めて高い精度で予測できるようになります。これは、従来の製品販売のように、売上が特定の時期に集中したり、市場の変動に大きく左右されたりするリスクを大幅に低減します。予測可能な収益は、事業計画の策定や予算管理を格段に容易にし、経営の安定化に大きく貢献します。・戦略的な事業投資予測可能な安定収益は、企業が長期的な視点での戦略的な事業投資を行うための強固な基盤となります。例えば、新たなハードウェアの開発への研究開発投資、サービス品質向上のための設備投資、専門性の高い人材採用などを計画的に進めることができます。これにより、企業の競争力を高め、将来の成長戦略を加速させることが可能になります。・キャッシュフローの安定MRRによって、一時的な大きな売上変動に左右されにくく、安定したキャッシュフローを生み出すことができます。これは、運転資金の計画が立てやすくなり、資金繰りのリスクを軽減します。急な資金需要に迫られることが少なくなるため、より健全な経営体制を築くことができます。顧客の初期導入負担軽減とアップセル・クロスセル機会の最大化顧客にとっての導入ハードルを下げ、さらに収益を拡大する多様な機会を提供します。・導入障壁の低減高額なハードウェア機器を初期購入する費用が不要となるため、顧客企業の導入ハードルが大幅に下がります。特に、初期投資に多額の費用をかけにくい中小企業やスタートアップ、あるいは一時的なプロジェクトでの利用を考えている企業にとって、このモデルは非常に魅力的です。これにより、これまでアプローチが難しかった層への市場拡大が可能になります。・新規顧客獲得の加速導入のしやすさは、潜在顧客が実際にサービスを契約へと移行するのを促進します。初期コストが低いことで、導入を躊躇していた企業も試用しやすくなり、結果として新規顧客獲得の効率を高めることにつながります。・アップセル戦略一度サービスを導入した顧客に対して、より高性能なモデルへのアップグレード(アップセル)を提案できます。例えば、より処理能力の高いPCや、多機能な複合機への移行を促すことで、顧客単価の向上を図れます。・クロスセル戦略既存の契約に加えて、関連するサービスや製品(例:高度なセキュリティソリューション、データバックアップサービス、専門的なコンサルティング、VRデバイスなどの追加機器)を提案し、提供する価値を広げる(クロスセル)機会が豊富に生まれます。これにより、顧客あたりの収益をさらに高めることが可能です。顧客エンゲージメントの強化とチャーンレートの低減顧客との継続的な関係構築が、長期的な成功の基盤となります。・強固な顧客関係の構築継続的なサービス提供、定期的なメンテナンス、迅速なサポートを通じて、企業と顧客との関係は単なる「売買」を超え、長期的なパートナーシップへと深化します。顧客は、ハードウェアを所有するのではなく、「利用する」という視点に変わり、提供側は常に顧客のニーズに応えるための努力を続けることで、信頼関係が醸成されます。・顧客満足度の向上常に最適な状態のハードウェアを提供し、質の高いサポートを行うことで、顧客満足度が高まります。例えば、故障時の迅速な交換対応や、最新のソフトウェアアップデートの提供などは、顧客にとって大きなメリットとなり、顧客ロイヤルティを醸成します。・チャーンレート(解約率)の低減顧客満足度が高いほど、他社への乗り換えやサービス解約(チャーン)のリスクが低減します。低いチャーンレートは、安定したMRRを維持し、LTV(顧客生涯価値)を最大化するために極めて重要です。・顧客ニーズの深掘り継続的な接点を通じて、顧客が抱える課題や新たなニーズを深く理解できます。これは、既存サービスの改善や、新たなソリューションの開発に直結し、企業の競争優位性を高めます。これらの要素を効果的に組み合わせ、顧客中心のアプローチを徹底することで、ハードウェアサブスクリプションは持続的な成長を実現し、新しいビジネスモデルとしての可能性を最大限に引き出すことができるでしょう。スケーラビリティ:成長への道筋ハードウェアサブスクリプションは、適切な戦略とテクノロジーの活用によって、非常に高いスケーラビリティを発揮します。これは、急激な事業拡大を可能にする、このビジネスモデルの大きな魅力の一つです。効率的な成長エンジンハードウェアサブスクリプションモデルは、SaaS(Software as a Service)モデルと同様に、一度基盤を構築すれば効率的な成長曲線を描くことができます。1. 標準化されたプロセスハードウェアの調達、在庫管理、顧客への配送、設置、その後の運用管理、保守、そして顧客サポートに至るまで、サービス提供のプロセスを標準化することが極めて重要です。この標準化が一度確立されれば、新規顧客の追加に伴う変動費を比較的低く抑えることが可能になります。顧客が増えても、一人あたりの対応コストが大幅に増えるわけではないため、売上増加に対して利益の伸びが大きくなる「レバレッジ」が効きやすくなります。2. 繰り返し可能な収益モデル月額または年額の継続収益(MRR)があるため、顧客数が増えるほど収益が積み上がっていきます。これは、単発の販売モデルとは異なり、一度獲得した顧客が継続的に収益を生み出すため、成長の勢いを維持しやすい構造です。テクノロジー活用による効率化スケーラビリティを高める上で、テクノロジーの活用は不可欠です。1. クラウドベースの管理システム機器の状態監視、稼働状況の把握、トラブルシューティング、ソフトウェアアップデートなどを遠隔で、かつ自動的に行うことができるクラウドベースの管理システムは、人的コストを削減し、広範囲の顧客への対応を可能にします。これにより、物理的な拠点に依存せずにサービスを提供できるため、事業展開の柔軟性が向上します。2. IoT技術の活用ハードウェアに搭載されたIoTセンサーからリアルタイムでデータを収集し、機器の予兆保全(故障する前に兆候を検知し、未然に防ぐ)や効率的な保守計画に活かすことで、運用コストを大幅に削減できます。例えば、部品の消耗状況をデータで把握し、最適なタイミングで交換することで、不要なメンテナンスや突発的な故障による顧客のダウンタイムを最小限に抑え、サービス品質を向上させることが可能です。3. AI/チャットボット定型的な顧客からの問い合わせ、例えば「〇〇の使い方」「よくあるトラブル」などに対して、AIを活用したチャットボットが自動で対応することで、カスタマーサポートの負荷を軽減し、サポート体制の効率化を図れます。これにより、顧客は24時間いつでも必要な情報を得られ、企業側はより複雑な問い合わせに人的リソースを集中できるため、顧客満足度と効率性の両立が可能です。補足スケーリングに伴う課題と克服高いスケーラビリティを持つ一方で、事業規模が拡大するにつれて、特有の課題も顕在化します。これらを克服するための戦略が重要です。在庫と物流の最適化顧客数の増加は、当然ながら必要なハードウェアの在庫量を増加させ、複雑な物流ネットワークの構築を求めます。克服策AIを活用した高度な需要予測システムを導入し、顧客の新規獲得ペース、チャーンレート、アップセル・クロスセルの状況などから、最適な在庫量を常に維持します。また、効率的な倉庫管理システム(WMS)や配送システムを構築し、配送ルートの最適化、リードタイムの短縮、コスト削減を図ります。サードパーティの物流パートナーとの強固な連携も有効です。修理・交換体制の構築物理的な機器である以上、故障や破損は避けられません。事業規模が拡大すればするほど、その頻度も増加します。克服策迅速かつ効率的な修理・交換体制を整備することが、顧客のダウンタイムを最小限に抑え、顧客満足度を維持する鍵となります。具体的には、全国にサービスパートナー網を構築し、オンサイトでの迅速なサポートを提供できる体制を整える、あるいは交換用機器を速やかに配送する仕組みを確立します。予備機のストックを地域ごとに分散配置することも有効でしょう。資産管理の高度化大量のハードウェア資産を管理することは、事業規模が大きくなるにつれて非常に複雑になります。克服策個々のハードウェアの稼働状況、リース期間、減価償却状況、修理履歴、現在地などを正確に把握し、最適に管理する資産管理システム(Asset Management System)の導入が不可欠です。これにより、資産のライフサイクル全体を可視化し、適切なタイミングでの機器の回収・廃棄、再利用、あるいは新しい機器への入れ替えなどを計画的に行えるようになります。財務面での正確な減価償却費の計算にも役立ちます。このように、ハードウェアサブスクは、安定した継続収益基盤と、テクノロジーを活用した効率的なオペレーションによって、高いスケーラビリティを実現できる、現代ビジネスにおける有力な成長戦略の一つと言えるでしょう。4. ハードウェアサブスク(社数)のビジネスモデル——KPIツリー、計算ロジック事業の羅針盤となるのが、KPI(重要業績評価指標)です。ハードウェアサブスクにおいては、どの数字を追いかけるべきか、そしてそれらがどのように繋がっているのかを理解することが、成功への近道となります。ここでは、「売上」を頂点に、その売上を構成する要素を細かく分解したKPIツリーと、それぞれの指標の具体的な計算方法を解説します。売上の基本構成式ハードウェアサブスク(社数)における売上は、基本的に以下の式で構成されます。売上=契約社数×顧客単価これは、「どれだけの会社と契約し、その各社から平均していくらもらっているか」で総売上が決まる、という意味です。ここから、さらに具体的な指標に分解していきましょう。主要KPIと計算ロジック:売上を構成する重要な要素たちこのモデルでは、企業ごとの契約数とそこから得られる収益を重視します。契約社数(期末)計算式: 契約社数= 期首契約社数+新規獲得社数−解約社数意味: ある期間(例えば今月末)に、サービスを実際に利用している会社の総数です。これは、事業の規模を示す最も基本的な指標であり、この数字が増え続けることが事業成長の基盤となります。新規獲得社数計算式: 新規獲得社数= ウェブサイト訪問数×商談化率×受注率意味: 新しくあなたのサービスと契約してくれた会社の数です。このKPIは、「どれだけ効率的に新しいお客さんを見つけ、獲得できているか」を示します。例えば、ウェブサイトに1000社が訪問し、そのうち100社が商談に進み(商談化率10%)、さらにそのうち10社が契約に至った(受注率10%)場合、新規獲得社数は10社となります。営業やマーケティング活動の成果を測る上で、非常に重要な指標です。解約社数意味: ある期間に、あなたのサービスを解約してしまった会社の数です。この数字は直接KPIとして計算式を持つよりは、チャーンレート(解約率)の算出に用いられる構成要素として重要です。解約社数が増えることは、既存顧客からの安定収益を失うことを意味するため、常に注視し、その原因を分析する必要があります。顧客単価(ARPA: Average Revenue Per Account)計算式: 顧客単価= 総月額売上÷契約社数意味: 契約している1社あたりの平均的な月額売上です。これは、単に新しいお客さんを増やすだけでなく、既存のお客さんから得られる価値をどれだけ高められているかを示す指標です。例えば、標準プランで契約している会社に追加サービスを販売したり、より高機能な機器にアップグレードしてもらったりすることで、この顧客単価を上げることができます。単価が上がれば、同じ契約社数でも総売上を増やすことが可能です。これら顧客数と単価に関する指標に加え、事業の持続的成長には、さらに深掘りすべき重要なKPIが存在します。チャーンレート(企業数ベース)計算式: チャーンレート= (当月の解約社数÷前月末時点の契約社数)×100意味: ある期間にサービスを解約してしまった会社の割合です。例えば、前月末に100社が契約していて、当月に5社が解約した場合、チャーンレートは5%です。この数字は低ければ低いほど良く、顧客満足度やサービスの魅力を測る非常に重要な指標です。サブスクビジネスの安定性を測る上で最も注視すべきKPIの一つであり、高すぎると、いくら新規顧客を獲得しても売上が伸び悩む「穴の開いたバケツ」のような状態に陥ります。MRR (Monthly Recurring Revenue)計算式: MRR= 契約社数(期末)×顧客単価意味: 毎月安定的に繰り返される売上のことです。ハードウェアサブスクの最も重要な収益指標であり、事業の健全性と成長速度を示します。このMRRを伸ばすことが、事業の継続的な成長に直結します。LTV (Life Time Value)計算式:LTV= 顧客単価÷チャーンレート意味: 1社があなたのサービスを契約している期間中に、平均してどれだけの売上(価値)を生み出してくれるかを示す指標です。「顧客生涯価値」とも呼ばれます。チャーンレートが低ければ低いほど、顧客の利用期間が長くなり、結果としてLTVは高くなります。新規顧客獲得コストに見合う価値があるかを見極めるのに使われます。CAC (Customer Acquisition Cost)計算式: CAC= 新規顧客獲得費用総額÷新規獲得社数意味: 新しく1社を獲得するためにかかった平均コストです。広告費、営業人件費、マーケティングツールの費用などを全て合算し、その期間に獲得できた新規顧客数で割って算出します。このコストが低いほど、効率的に顧客を獲得できていることになります。LTV/CAC比率計算式: LTV÷CAC意味: 顧客獲得に費やしたコスト(CAC)に対して、その顧客が将来生み出すであろう価値(LTV)がどれくらい大きいかを示す指標です。この比率が3以上であれば、一般的に健全な事業運営ができていると言われています。つまり、1のコストで3以上の価値を生み出せていれば、そのビジネスは積極的に成長投資をすべきだ、と判断できます。これらのKPIを定期的に追跡し、目標値との差異を分析することで、事業の現状を正確に把握し、改善策を講じることが可能になります。例えば、チャーンレートが高い場合は顧客サポートの強化や製品改善が必要だと判断できますし、新規獲得社数が伸び悩んでいる場合はマーケティング戦略の見直しが必要だと分かります。5. ハードウェアサブスク(社数)の有名企業例ハードウェアサブスク(社数)のビジネスモデルを採用している代表的な企業には、以下のような例が挙げられます。ITデバイス・オフィス機器関連Microsoft Surface as a Service (Microsoft)企業向けに Microsoft Surface デバイス(ラップトップ、タブレットなど)を月額課金で提供します。デバイス本体に加え、Windows OS や Microsoft 365 などのソフトウェア、さらに保守サポートも含まれます。これにより、企業のIT資産管理の負担を大幅に軽減し、常に最新かつセキュアな環境を維持できます。HP Device as a Service (HP)HP 製の PC やプリンターなどのデバイスをサブスクリプション形式で提供します。デバイスの導入から管理、保守、リサイクルまでを一貫してサポートすることで、企業のIT部門の負荷を軽減し、運用コストの最適化を支援します。Xerox DocuShare Flex (Xerox)複合機やプリンターといったオフィス機器の提供に加え、ドキュメント管理ソリューションをクラウドベースで提供するサービスです。単なる機器提供にとどまらず、ドキュメントのデジタル化やワークフローの自動化など、業務効率化を支援するソリューションとして価値を提供しています。産業機器・モビリティ関連Caterpillar (Equipment as a Service)建設機械や鉱山機械で世界的に有名な Caterpillar は、高額な建設機械を「サービス」として提供するモデルを推進しています。企業は機械を購入する代わりに、利用期間や稼働時間に応じた料金を支払うことで、初期投資を抑えつつ必要な時に必要なだけ機械を利用できます。メンテナンスや保険なども含まれることが多く、顧客は設備の管理負担から解放されます。Deere & Company (John Deere)農業機械大手の John Deere は、単にトラクターなどの機器を販売するだけでなく、機器に搭載されたIoT技術を活用した精密農業サービスを提供しています。これは機器の利用料に加えて、収集されたデータに基づいた作物管理や効率的な作業計画をサポートするサブスクリプションサービスであり、収益性の向上に貢献しています。Tractive (GPSトラッカー)消費者向けではありますが、ペット用のGPSトラッカーを販売し、その位置情報サービスを月額で提供しています。トラッカーというハードウェアは一度購入しますが、その真の価値である「安心感」は継続的なサブスクリプションサービスによって提供されます。その他Peloton (フィットネス機器)高機能なフィットネスバイクやトレッドミルといったハードウェアを販売するだけでなく、それらを通じて提供されるオンデマンドのフィットネスコンテンツやライブクラスを月額課金で提供しています。ハードウェアとコンテンツ・サービスが一体となって価値を生み出す、代表的なHaaSモデルの一つです。Philips Hue (スマート照明)スマート電球などのハードウェアを販売していますが、専用アプリやクラウド連携を通じて、光の色や明るさのコントロール、スケジュール設定、外部サービスとの連携といったスマート照明体験を継続的に提供しています。一部の高度な機能やサービスがサブスクリプションモデルで提供されることもあります。これらの企業は、単にモノを売る時代から、顧客のニーズに応じた「体験」や「ソリューション」を提供する時代へとビジネスモデルを進化させています。ハードウェアサブスクリプションは、顧客にとっての利便性向上と、提供企業にとっての安定収益確保という双方のメリットを持つ、現代における重要なビジネス戦略と言えるでしょう。6. ハードウェアサブスク(社数)の事業計画テンプレートで事業計画の作成と予実管理をしよう!ハードウェアサブスクリプション事業では、販売台数や契約数といった計画と実績のズレをいち早く把握し、必要に応じて改善策を打つことが成功のカギです。しかし、一から事業計画を作り上げるには時間と労力がかかるうえ、減価償却や在庫管理、デバイスの残存価値といったハードウェア特有の変数が絡むため、その計算ロジックの構築はSaaS事業以上に複雑になります。Zaimo.aiが提供しているハードウェアサブスクリプション特化のExcel事業計画テンプレートを使えば、あらかじめ組み込まれたロジックを利用しながら、デバイスの減価償却や保守費用などを織り込んだMRRの予測、予実の比較を簡単に管理できます。仕入れ価格や契約数、故障率といった必要な数値(パラメータ)を入力するだけで自動計算が行われるため、ヒューマンエラーを大幅に削減できます。【Zaimo.aiの事業計画テンプレート(財務モデル)の特徴】PL(損益計算書)/BS(貸借対照表)/CF(キャッシュフロー計算書)の財務三表連動モデル売上・コストロジックを階層構造化したRevenue・Costシート全入力値をParameterシートに集約し、業績ドライバーを一元管理Zaimo.ai内で売上・コストロジックをExcel関数式を編集せずにカスタマイズ可能このテンプレートを活用することで、手作業による計算ミスを回避しながら、スピーディーかつ正確な事業計画の策定と予実管理が可能になります。早速Zaimo.aiの事業計画テンプレートを取得してみましょう。Zaimo.aiの事業計画テンプレートは、下のダウンロードボタンからExcel形式でダウンロード可能です。Zaimo.aiでの事業計画テンプレートの取得方法アカウント作成は「無料ではじめる」からどうぞ。ぜひ、この機会にハードウェアサブスク計画を効率的に構築し、予実管理の精度を高めてみてください。Zaimo.aiでのExcel事業計画の作成方法はこちらの記事をご覧くださいまた、ご利用料金などの詳細は、Zaimo.aiのサイトでご確認いただけます。